大論争を巻き起こした、日本の戦争映画屈指の問題作!

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1998年に公開された日本映画です。主演は津川雅彦、監督は伊藤俊也。
前回「プライベートライアン」の事を書いたら、戦争映画の事を書きたくなったので、問題作と言われる本作の事を書きたいと思います。

物語は第二次世界大戦後、極東国際軍事裁判(いわゆる東京裁判)によって裁かれた東條英機を描いた作品です。

一応書いておきますと、東條英機(とうじょうひでき)とは、第二次世界大戦中に総理大臣だった人で、同時に陸軍大臣でもありました。つまり、戦争中、最も偉い立場にいた人、と考えてもらえれば良いと思います。
当時、日本と敵対していた国の人にとって、東條は敵の総大将であり、ドイツで言う所のヒトラーと同じくらいの人、と言えば、その凄さが分かると思います。

まあ、正確に言えば総大将は昭和天皇なんですが、今も昔も天皇は極めて特別な地位であり、実際東京裁判でも天皇は裁かれなかったので、実質の大将は東條英機と言って良いと思います。


戦後の物語、しかも兵士ではなく政治家が主人公の為、銃撃戦と言ったモノはまったくありません。
舞台のほとんどは法廷で、東京裁判の中で必死に日本を守ろうとする東條の姿が描かれています。


さて、過去の戦争において「誰が正しくて、誰が間違っていたのか」という問題はおそらく永久に結論が出る事は無いと思います。
誰も自分達が間違っているなどとは認めないからです。


本作もそういう面で凄まじい議論が巻き起こった作品です。
日本が起こした戦争を「自衛の為の戦争」「アジア解放の戦争」とした事、南京大虐殺を疑問視した事、戦犯全員を無罪としたパール判事を擁護する姿勢など、

「日本は悪くなかった」

とする描写が大変多く、海外から凄まじいバッシングを受けました。中国や韓国はもちろん、こういう事には静観を決め込む事が多いアメリカでさえも文句を言う始末でした。


私は日本人なので日本を擁護したい気持ちではあるんですが、戦後生まれで映画をチョコチョコ齧った程度の知識しかない若輩者です。なので、この映画が「正しいのか否か」についてはぶっちゃけ分かりません。
そもそも、戦争は人によって様々な見方が存在する為、答えなど絶対に出ないと思うのです。
ただ、こういう描き方もあるんだな、と興味深く鑑賞した事は事実です。
描き方一つでここまで作品のカラーは変わるのだな、と。


今は亡き津川雅彦さんの迫真の演技も素晴らしかったと思います。作品の方向性は置いておくとして、レベルの高い映画だった事は間違いありません。

ドンパチとも悲惨さとも違う、戦争を見たい方は見てみてはいかが?


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